鼻歯槽嚢胞の1例
症例の概要 6年ほど前より左鼻前底部の腫脹による違和感がありきになっていたが、 最近になって腫脹が大きくなってきました。   上の写真でみても右鼻孔に比べ左鼻孔が腫脹のため狭窄しているのが確認 できます。 口腔内所見においても左上1番2番歯肉頬移行部に腫脹が認められます。 浸潤麻酔後試験穿刺を施行し、黄褐色粘調性の内容液を約2cc吸引しました。 これらの所見より鼻歯槽嚢胞を疑い、摘出手術を施行することにしました。 左上123番歯肉頬移行部よりやや歯頚部よりに切開線を入れ、嚢胞壁と 周囲組織を慎重に剥離していきました。 下の図は摘出後の口腔内所見です。 嚢胞によって梨状孔から歯槽部にかけて 骨が圧迫吸収されている所見が認められます。 上の図は摘出物所見です。一塊として全摘することができました。 上の図は病理組織所見です。摘出物が上皮で被覆された嚢胞であることが、 確認できます。 左は術前、右は術直後の所見です。嚢胞の存在で狭窄していた左鼻孔部は 嚢胞摘出直後すっかり陥凹してしまいました。しかし現在はほぼ左右対称に 回復しています。 患者さんは初診時の違和感が消失し、再発の傾向もなく経過良好です。